『レヴィ=ストロース 構造』その2
『レヴィ=ストロース 構造』(現代思想の冒険者たち20、渡辺公三著、講談社)は、ときどき、気が向いたときに、進んだり戻ったりしながら読んでいます。第三章の途中だったのですが、再び第二章に戻ってみました。
第二章「声とインセスト」ですが、なかなかしっくりと来ないというか、すっきりと理解ができません。いくつか疑問点を挙げてみます。
1.無意識とは?
ヤコブソンの「弁別特性」ですが、これは本当に人間の無意識の産物、と言ってしまってよいのでしょうか?
たとえば、開/閉、前方/後方、円唇化/非円唇化、などと分類できる母音、あるいは破裂音であるpとbが「無声」「有声」と対をなしているとか、これらのことは、人間の意識・無意識、というよりは、人間の体(とくに発声に関する部分)の構造によるものなのではないか、ということです。人間の体の構造により、おのずから発声できる声・音の種類は限られてきます。
一方、たしかに文法についていえば、単に体の構造というよりは、脳の構造といった方が良いのかもしれません。無意識の構造、という言い方もそんなに外れていないような気もします。
このように、無意識の構造といっても、人体の構造に規定されているものから、脳あるいはその他のものに規定されているものなど、いろいろあると思います。それらを「無意識」とひとまとめにしてしまっても良いのかどうか・・・?
いずれにせよ、言語というものは、生物としての人間の構造によっても規定されているものであり(もちろんその他さまざまな要因の影響もあるでしょう)、親族の構造についても、同じことが言えるのかもしれません。たとえば、ある程度は人間の生物的な性質の影響が厳密でない形で影響を及ぼしている可能性もあるのでは、ということです。(実際そのような要因があるというニュースを聞いたことがあるのですが、詳しいことについては知らないので、ここで述べるのは控えておきます)
2.いったい何を説明したいのか?
「体系は自明だったが、機能は知られていない」という親族の構造について、
親族関係の構造における、「精神構造」は
①規則としての規則の必然性
②自己と他者の対立を統合しうるもっとも直接的な形式としての互酬性の概念
③ある個人から別の個人への価値物の移転が、二人をパートナーに変え、価値物に新たな性質を与えるという贈与の総合的な性質
これらが、女性の授受をもたらす直接的要因としてつながりが明確に示されているようにも思えません。
この第二章で読んだかぎりでは、レヴィ=ストロースの理論は、女性どうしを交換したら、このような社会構造になった、というところを説明していますが、それ以上のことは説明していないのでは、とも感じられます。
(当然、それはそれで立派な理論だとは思いますが)
インセストを避けたいために他の婚姻クラスから女性を受け取るのか、身内以外の女性と結婚したいために、他の婚姻クラスから女性を探すのか、結果としては同じことでも、その理由というものは結局わからない、ということのようにも思えます。
たとえば、規則としての規則、とか交換のための交換、というのは説明になっていません。それは、生物としての人間が規則を欲している、あるいは交換を欲する生き物なのである、という説明と同義であると思います。
つまり、人間の生物学的(?)な欲求、ということになってしまうような気がします。
そのものの周囲にあるものとの因果関係を捨てて、そのもの自体・そのものの内部にある構造を見つけ、それをその存在意義にする、という論理構成自体に、無理があるのでは?という気もします。
とりあえず途中経過です。まだ最後まで読んでいないし、誤解している部分もあるかもしれません。『構造人類学』も読んでおきたいです。
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